自分、実は方言学なんじゃないか、、、
と思う今日この頃
東京外国語大学 国際日本語研究センター
社会言語部門主催 講演会
「裁判所における方言」
京都教育大学付属高等学校 札埜和男氏
に行って参りました。
国語の教師でいらっしゃる札埜先生は授業の一環として
「下手に小説読ませるよりよっぽどドロドロした人間模様がわかる」
裁判所見学を行っているそうで、そのうちご自身も「はまった」そうな。
大阪地裁に足繁く通い、法廷における大阪方言の機能を帰納的に導き出された。
(これはシャレじゃないよね?)
札埜先生が帰納的に導き出した方言の4つの機能
(A)心的接触機能:相手の心に近づこうとする働き
①場の緩和機能:優しく諭すような話し方で和らぎ効果
②攻撃機能:相手を問いつめ攻撃する働き
③日常の空間形成機能:法廷という非日常に日常的雰囲気を作る
(B)カムフラージュ機能:都合悪い事ぼやかし効果
(C)リズム変換機能:その名の通りの機能(ラップ的な???)
(D)引用機能:方言での恐喝は方言で再現せな迫力落ちるぜよ
特に(A)③は法廷という場で、ただでさえ緊張している人に
法的な特別な言葉バンバン浴びせかけ、それがかった~いお役人言葉だったら
言いたいこともうまく言えん。
そんな状況を回避し、法廷を円滑に進行させるために使われているのだとか。
しかしながら、
法廷における方言を巧みに操るのは法曹関係者。検察官や弁護士。
方言を方略的に使っているのは、つまりもともと権力を有する側であって
「法廷における方言=『法律の素人』である市民には閉じられたことば」。
では市民が方略的に方言を使用した裁判のケースは無いのかや?
ということでことばのアイデンティティ機能のお話。
ことばとアイデンティティ、私が今注目しているキーウェードなり。
例として沖縄、北海道の裁判が挙げられました。
ただ、そのウチナーグチ裁判とか日の丸裁判とかって先程までの
「法廷における方言」っていう括りで話せる問題であるのかどうか少々疑問。
それから、最後に裁判員制度の各都道府県のキャッチフレーズ列挙して
こういうところにも方言が!というオチ(だったのかな?)がありましたが
それってまた違う話なんじゃないかな・・・と。
たしかに各都道府県のキャッチフレーズおもろかったの~。
特に広島なんかはカープの選手feat.キャラマスコットを起用して
DVDまで作成しているという力の入れ様。
終始一貫して方言で発表された札埜先生。
私も自分の方言との向き合い方をそろそろ定める時期かな。
質疑応答ではあらかじめ回収されたコメントシートから
司会者の前田先生が代表して質問してくだすったのですが
なんと、私の書いた3つの質問全てが起用されました。
ありがとうございます。
ひとつはアクセントについて。
裁判所では録音できないそうで全て記述データに頼らざるを得ないのですが
アクセントやイントネーションをどう扱ったのか。
回答→どうやって丸ごとアクセントまで捉えるか。それはうまくいかなかった。
二つ目はフォローアップインタビューについて
ここまでやるか!というくらいとことんフォローアップされていたのですが
方言の機能を帰納的に導き出すにあたって
ひとつのやりとりに関して話し手の意図と聞き手の意図、双方を聞いたのか。
多くは話し手のみのフォローアップ、聞き手のみのフォローアップで
話し手はこういう意図で方言を使ったが、聞き手はそれをこう捉えた、
というようなフォローアップは少なかったように思ったので。
回答→大体いきなりインタビューを依頼しても断られることが常。
コンタクトは取るけどお話を聞けるところまで行き着くのは難しい。
たまたま知り合いやそのつてがあったので聞くことが出来たのが大半。
そして結局回答がよくわからなかった質問。
引用機能としての方言使用に関して
「恐喝事件における脅し文句は相対的に放言しようが多く、
それを標準語に置き換えることはできない。
『関港に沈めたろか』、『しばいたろか』を標準語で
『関港に沈めましょうか』、『たたきましょうか』と言っても
迫力が無くて脅された当時の状況が薄れてしまう。」
とのことなのですが、どうして標準語=です・ます体???
回答→なせかこの回答のときだけ札埜先生、共通語がかった話し方をされて
フィラー炸裂で、結局何をおっしゃっているかわからなかった。
以上、勝手な報告でした。
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